ハワイで守られてきた日本の伝統芸術を原点から見直し、未来へつなげるために

『青砥稿花紅彩畫』「浜松屋見世先の場」
(通称: 白浪五人男 )

委員会よりメッセージ

門之助とイエッツイー
門之助とイエッツイー

私たちは2018年に移民150周年という節目を迎えた日本人入植とともにハワイに根付いた「歌舞伎」がさらに成長し、大樹となって次の150年を迎えることができるようこのプロジェクトを企画いたしまた。

かつてハワイのコミュニケーションで演じられ、支えられてきた「歌舞伎」はいつしかハワイ大学の演劇舞踊学科において英語で演じられる「kabuki」へと変化を遂げ、地歌舞伎の一つとしての地位を得たと言えましょう。同大学のプログラムでは一年間かけて学生たちに 「kabuki」 を教え、学生たちは学年末に大学内にあるケネディーシアターにてその 「kabuki」 を上演します。そして今回は、新たな試みとしてイエッツイーと門之助は、学生たちを来日させ日本の地で 「kabuki」 を披露する、いわば 「kabuki」 の里帰りを企画しております。

イエッツイーは、日系人コミュニティーから受け継いだ 「kabuki」 をハワイ大学の指導者として再び日系人コミュニティーと大学を結び、次の世代へと繋いでいけるよう考えています。また門之助は歌舞伎を生業とするものとして、日本の伝統文化をハワイの地においても伝えていくことができるようにこのプロジェクトをお手伝いしていこうと考えています。いつの日かハワイに芽吹いた歌舞伎がこのプロジェクトをきっかけとして世界で根付いていくことができるように。

門之助よりメッセージ

市川門之助

この度、ハワイ州立大学マノア校演劇舞踊学科のジュリーイエッツイー教授と共に温めてきた夢であるハワイ大学の歌舞伎プロジェクトが実現に向けて動き出したことを大変うれしく思っております。1868年の最初の日本人入植者たちとほぼ時期を同じくして彼らとともにハワイに持ち込まれた歌舞伎が英語で演じられる 「kabuki」 として地歌舞伎と言えるまでに成長し、今、里帰りを計画しています。そしてその里帰りがきっかけとなり、 「kabuki」 は世界に羽ばたく新たなる150年につながっていくことでしょう。伝統文化の一つである歌舞伎が世界に広がることを応援することは歌舞伎役者としての責務と考えております。ハワイのイエッツイー教授と日本の私とが手を取り合って、このプロジェクトの実現に向かって務めてまいります。どうか皆様には、是非このプロジェクトにご理解とごご協力を賜りますようお願い申し上げます。

イエッツイーよりメッセージ

歌舞伎が世界の演劇の伝統という観点において独特な立場にあるのと同様に、 ハワイは世界において地理的にも文化的にも大変ユニークな立場にあります。私たちは演劇というレンズを通して人間や文化を理解することができますが、ここハワイにおいても歌舞伎は日系アメリカ人のみならず母国を離れている日本人が、この文化遺産を通して連体感を増す役目を持つとともに、それ以外の人々にもこの世界規模の伝統芸術における美、歴史、技能を享受させてくれます。芸術は人間と同じように、環境によってその姿を変化させて行きます。もちろん日本にそのルーツを持つ歌舞伎ですが、日本の各地域に伝わる地歌舞伎がそうであるように、日本からの弛まぬ協力を受けつつ、ハワイの歌舞伎の伝統はその独自の地域的特性を持つようになりました。私は、ハワイの歌舞伎を「里帰り」させ、日本の方々とともにこの歌舞伎をともに楽しみ、学ぶことで伝統をより豊かにし、ハワイの大地にしっかりと根を張る大樹となることができるようにすると同時に、次の150年の文化交流を実り多きものとし、ハワイの歌舞伎の伝統を促進させることで、ハワイと日本の相互理解と絆を深めたいと強く願っております。

(ハワイ州立大学マノア校演劇舞踊学科 副学科長)

Hawai’i occupies a unique geographical and cultural place in the world, just as kabuki holds a unique position among the worldʻs theatrical traditions. Theatre is a powerful lens through which to understand people and cultures, and here in Hawai’i, kabuki has been both a way for successive generations of Japanese living abroad as well as Japanese Americans to maintain an intimacy with their heritage, while at the same time enabling others to appreicate the beauty, history and accomplishment of this world-class tradition. Art, like people, adapts to circumstances. With clear roots in and continued support from Japan, the Hawai’i kabuki tradition also has its own regional distinctions, like other regional kabuki (jikabuki) forms. It is my great hope to enrich and strengthen the Hawaiʻi kabuki tradition by “returning” to Japan, sharing with and learning from Japanese counterparts, to strengthen understanding and ties between Hawaiʻi and Japan, encouraging 150 more years of fruitful cultural exchange and vibrant continuance of the Hawaiʻi kabuki tradition.